474人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうした、その程度か?」
アーメット君はそう言いながら、動きをより早める。
「くっ、う、わっ!」
あまりに早すぎるのだろう、ついに僕は一撃もらってしまう。
それを皮切りに、何発も突きささる。
もし、ここが闘技場じゃなければ死んでるな…。
闘技場では、昔、スケアクロウのギルドマスターが掛けてくれた魔法の効果で、一定以上の怪我はしない。
仮に首を切られても、擦り傷程度になるのだ。
しかし、その分の疲労はきちんと受けるため、『怪我だけしない実戦』を行えるわけである。
「どうしたんだ?動きが鈍くなって来たぞ?」
そう言いながら、さらにアーメット君の手は早まる。
「うっ」
いくら怪我をしなくても、ここまで刺されればさすがにとてつもないダメージになる。
ぼくはそれに耐え切れず、声が漏れてしまった。
ユナやヴィークも心配そうだ。
こうなったら、仕方がない。
僕は全力で、レイピアを蹴り飛ばし、何とか後退する。
そして、僕は魔力を集結させた。
最初のコメントを投稿しよう!