『     』

2/9

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
ゴーン…ゴーン…ゴーン… 今、この場所で二人の子供が生まれた。 祝福するは教会の鐘の音。 その子達の名前はリンとレン。 双子の姉弟だった。 それから歳月が経ち、彼等は共に14歳になった。 しかし、その時には二人は既に違う世界へいた。 哀れな境界線を挟んだ、王女と召使となって……… ―――――――――――― 「王女、今日も散歩します?」 「もちろん! 早く私の愛馬のジョセフィーヌを連れてきて!」 「かしこまりました。」 ここはリン王女が頂点に君臨しているお城。 そして、その王女に仕えるのは黄色の髪をした召使。 その召使は今さきほど、王女から命令を受け馬小屋へと向かった。 「お待たせしました、王女。 準備が整いましたよ。」 「分かったわ。 すぐに出発よ!」 「はい。」 王女は召使を連れて城の外へ飛び出した。 ―――――――――――― 「ねえ?」 「何ですか、王女?」 「あなたはどこから来たの?」 馬にまたがった王女が言う。 その横で召使は困ったような顔でこう言った。 「…王女と同じ所から…かな?」 「はぁ? もう…意味が分からない。」 ふふふ…と微笑んだ召使はまっすぐと前を見て、何かを思い出すように歩き続けた。  
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加