『     』

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ある日のこと… 黄色の召使は隣りの国へ用があり、一人で出掛けていた。 町で用を済まし、帰ろうとした時…召使は足を止めた。 召使の目線の先には女がいた。 長い緑髪を二つにくくっているとても可愛いらしい女の子。 「カイト様はアイスクリームがお好きなんですね。 私も好きですわ。」 「あははは… 嫌ですわ、もう…」 彼女は隣りにいる青い髪をした男と楽しそうに話している。 それを見ている召使の頬が、少しピンクに染まっている。 これは世にいう…『恋』なのだろうか。 召使は一人、そう思っていた。 ドキ…ドキ…と胸の高鳴りが止まない。 あの女の子から目を離せない。 優しげな声と笑顔に…召使は一目で恋に落ちた。 ―――――――――――― 町から帰ってきた召使は帰ってきて早々に王女に呼び出された。 「申し訳ございません! 隣りの町へ出掛けておりました!」 召使は膝まづき、頭を深々と下げた。 しかし、王女は何も言おうとしない。 イスに座ってずっと俯いているだけだった。 「……王女?」 「……………して……」 「………え…?」 「緑の女を…消して…っ!!!」 今日、町で見掛けた緑の娘… あの子こそが緑の女。 召使が一目で恋に落ちた女。 召使はスッと立ち上がり、王女の前へと立った。 そして…こう言った。 「承知いたしました。」  
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