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召使は緑の国へと向かった。
自分の行動が本当に合っているのか、そんなことも分からないまま。
しかし、召使は小さい頃からずっと守ってきていることがある。
『君を守る、その為ならば僕は悪にだってなってやる。』
召使にとっては王女が全てなのだ。
一緒にこの世に生まれてきた…とても可愛い…召使の姉…
――――――――――――
緑の国へ着いた召使は真っ先にお城へと向かった。
緑のあの娘が王女となっているお城へ……
兵士達の目を盗みながら、王女の部屋へと近付く。
一歩…また一歩…
緑の女の死の音が近付いてゆく。
ガチャ…
召使がドアを開けると、そこには不思議そうな顔をした緑の王女がいた。
「……? あなた…」
次の瞬間、部屋にズシュッと言う醜い音が響いた。
ドサッ
その部屋には赤く染まった緑の王女の横たわっている姿が。
そして、その横で泣く一人の召使の姿が。
召使の目から涙が止まらない。
どうしてなのかも分からない。
涙は止まることを知らず、どんどん溢れ出ていく。
――――――――――――
涙が自然に止まったあと、召使は緑の王女の手の甲にキスを交わし、リン王女の国へと帰ってきた。
「ただいま帰りました。」
「………」
「王女の命令、執行いたしました。」
「………」
「…王女?」
「あら、おやつの時間だわ。」
「…今日のおやつはブリオッシュですよ。」
召使がそう言うと、民衆の誰もが見たこともないような無邪気な笑顔を召使に向けた。
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