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コツ…コツ…コツ…コツ…と王女のお気に入りの靴の足音が王間に響いた。
「…みんな…逃げたのね…
…もういいわ…」
召使は一人、イスに座りずっと無表情でいた。
しばらくするとダダダダダ…と何十人…いや、何百人の足音が耳に響いてきた。
バンッ!!
ドアを開かれたのではなく蹴り倒された。
「王女はどこだっ!?」
赤い鎧をまとった女剣士が叫ぶ。
多分、この反乱のリーダーだろう。
しかし、イスに座っている召使を見るとフッ…と、あざ笑うかのように召使を見た。
「これはこれは王女様。
お一人で何をなさって?」
召使は何も答えない。
ただどこか遠くを見ているようなそんな目でジッとしていた。
「ひっとらえろ!!!」
ダダダダダッ!と足音が大きくなったと思うと、一斉に住人達が入ってきて罪もない召使を一瞬で捕らえた。
召使も抵抗する気はなく、ただただ無表情だった。
「何か言いたいことはある?」
赤い剣士がそう言うと少しムッとした表情でこう言った。
「この……無礼者っ!!!」
そして、召使は牢屋へと閉じ込められた。
何の罪もない召使が…
「処刑の時間は午後三時よ。
それまで存分に死にものぐるいしてなさい? 王女様。」
ガチャン!
王女と呼ばれた召使は反応もせず、ただ壁を見つめるだけ。
「午後三時…
教会の鐘が鳴る時間…」
召使は何かを思い出すように静かに目を閉じ座り込んだ。
――――――――――――
そして、ついにその時はやってきた。
召使は手錠をかけられ断頭台へと向かう。
向かった断頭台の回りには住人で溢れ返っている。
手錠をかけられた召使が現れると、ワアッ!と歓声が上がった。
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