『     』

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「早く処刑されろ!」 「私はあいつに夫を殺されたのよ!」 「俺は妹だ!」 「俺は母さんを…!」 何の罪もない召使を民衆達は責め立てる。 色んな言葉を浴びせられても召使は無表情で聞こえていないかのように、民衆などには目もくれなかった。 ガチャン…! 召使は断頭台に首を置き動きを封じられた。 何もしていないのに。 もう一度、ワアッ!と歓声が起きた。 ゴーン…ゴーン…ゴーン… 午後三時を知らせる鐘が鳴った。 そして、その鐘の音が収まったあと…召使はこう言った。 あの時と同じように… 王女の口癖を… 「あら、おやつの時間だわ。」 ザシュッ 召使が断頭台に立つ少し前、リン王女は召使が言っていた通りマントを被り、お城を抜け出していた。 しかし、行き先は断頭台。 「レン……! ごめんなさい… あなたが弟だったなんて…」 リンには昔の記憶がない。 王女となる前の記憶は全て召使と過ごした幸せな日々。 その記憶を全て忘れていた。 「レン…!レン…!」 王女は泣きながらただただ呼び続け、民衆をかき分け断頭台へと向かう。 そして、王女が着いた途端に民衆がワアッ!と騒ぎ出した。 何事かと思い民衆達の見つめる先を見ると、そこには自分そっくりな召使の姿が。 「レンっ!!!!!」 そう叫んだ王女は枯れることを知らない涙をまた流し始めた。 「早く処刑されろ!」 (どうして……?) 「私はあいつに夫を殺されたのよ!」 (違う……) 「俺は妹を!」 (だから違う……) 「俺は母さんを…!」 (違うっ!!!!) 「殺したのは…私…私よ… レンじゃない……」 そう言い王女はその場に泣き崩れた。 民衆の中で泣いているのは王女ただ一人…  
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