一章

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歩き続け、校門を出ると、嫌な予感がして、今度は意識的に立ち止まっていた。 そして、嫌な予感がした方に視線を向けると、遠くに一つの人影が見えていた。 その、人影は坂をゆっくりとした歩調で上ってくる。 別に、その人影に見覚えがあるわけでも無いのに、頭の中で危険を知らせる警報が鳴り続けている。 その理由は、この学校は小高い丘の上に立っており、一日を通して人がいない、ということと、さっき見ていた夢のせいだ。 別に、人がいるのは珍しいで済むのだけど、どうしてもあの人影が、夢で出てきた異形の化物と同じ感じがしてしょうが無いからだ。 そんなことを考えているうちに、その人影は坂を半分近くまで上ってきていた。 僕は自分に、気のせいだと言い聞かせ、坂を少し早足で下り始めた。 だをだん下に歩いて行くにつれて、嫌な予感は強くなってゆく。 そして、その人とすれ違った時、 「ちょっと、いいかい?」 と、声をかけてきた。 僕は、その言葉に反射的に立ち止まり、振り向いてしまった。 その声の主は、全身黒服でいかにも怪しい感じの男だった。
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