好 ・ 愛

10/14
前へ
/18ページ
次へ
もう、何もかもどうでもよくなった 僕は自殺行為をした 僕が死んだって、誰も悲しまないのは十分承知だ 『…』 その時僕は 教室でいつもの様に罵声をあびていた 人が話す度に傷ついた あれも僕への罵声だな…とか、 どうでもよくなった といっても希望は少しでもあって。 でも今までの仕打ちのせいで感情を自分で感じなくなった 『はっ…疲れたなら死ねば?』 そんな声が聞こえた。 傷つくなかで、開き直り納得している自分がいた 窓に向かって歩きだすと罵声は止み、クラスメイトは僕の不審な行動に動揺しだした 『そっか………死ねば、疲れはとれる?』 『!?』 今までたくさんの痛みを味わってきた けれど声は発したことなんて一度もない。 (…――それが何もできない僕の、せめてもの抵抗だったから。) 『何度逃げようと思っても光と闇が一気に追いかけてくるんだよ。ねえ、ここから落ちれば、全部なくなるのかな…』 窓の枠に手を置き、誰に聞くでもなく呟いた 『そ……な……』 誰かの声が聞こえた気がしたが僕は知らない もう周りなんて見えない 何も聞こえない。何も視えない。 僕はただの陰だ。 光があっても手さえのびる力がない。 敵が、真実が光を増す程僕の陰りは強くなっていく その陰りに安心しながら自分を保ち眠った けれどそれももう感じない 何も、感じない
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加