好 ・ 愛

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僕は昔から独りだった 両親は小さい頃は可愛がってくれたが、小学校に入学する頃には仕事にしか興味がなかった この背の小ささと翠という女の子のような名前、そして独りだった僕には優しさなど知らず、言いたい事をずばすば言うので皆には嫌われていたし、友達なんて関心がまずなかった でも一度だけ、中学校で仲良くなった奴がいた それも最初だけ そいつは顔が綺麗で、おまけにムードメーカーだったので人気があった 最初は鬱陶しい奴と思っていたが、案外良い奴だったのでだんだん馬鹿な僕は心を許していた。 だけどある日……… 『翠!はよっす~』 『なにそれ…』 『お!返事してくれた~前は見向きもしなかったのに!いい子になったねえ…よしよし!』 『ばっ…恥ずかしいからやめろ…!!』 『もう、てれちゃってえ』 イタズラが大好きで、でも馬鹿みたいにお人好しで… そんな誰からも好かれる性格 『ねえみて…また柏原の奴響也(キョウヤ)といるよ』 『うわ……最悪』 『自分がいらない存在っていうのわかんないの?』 『馬鹿だからわかんないんじゃん?』 ギャハハハハ!! 『クソッ…お前ら…『響也、いいんだよ』…でもっ!!…』 『柏原…』 バン!! 机を強く叩くと大きな音がなり、クラスメイト達は一斉にソコをみる。 ああ、コイツはこういう奴だったんだ。忘れてたよ。 沈黙。 『お前等…ふざけんなよ……』 『響也、駄目だって。やめて、』 『なあ柏原、どうしてだよ!なんで何も言わないんだよっ!!折角、折角俺は…』 『!!…言うなっ!!!』 怖かった 『最近は柏原が大好きだ。でも本当は…』 その事を認めるのが 『お願い…!』 『でも……』 『やめろ…やめろ……』 止めてくれ!!! 『今までずっと独りだったから、だから俺は柏原と一緒に居るんだ!!』 響也は、時に残酷なことを言う。 しかし残酷なことは真実で、僕は何も言えずにいた。 どうして今それを言うの? 皆もいるんだよ? そんな願いは幸せで、自分が常に正しいと思う響也には届かない でも簡単なこと。 僕は孤独だったんだ 認めるのが怖いだけ それだけの、話 .
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