一時 -ヒトトキ-

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ある時小さな人間が訪れた。 その者は晴れた日には毎日のようにワタシに語りかけてきた。 聞いてもいぬのに嬉しそうに出来事を話すのだ。 飽くこともなく毎日毎日。 毎回朽ちていく骸を置いて。 そして「またね」と今日も別れていく。 一日に顔を見るのも月より多く 声を聞くのも風より多くなった。 ほんの僅かな時が過ぎて その者も遂には訪れなくなった。 その者を最後に見たのはいつだっだろうか。 枯れた花は二度と咲かぬとは知っていたけれども。 ワタシの周りでは茂る森と広がる大地の中で風だけが流れていく。  
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