三階の非常階段

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「あやめ」 「ん、なに?」 「うちな、成仏すんねん」 驚いた。 たった一人の親友が 幽霊だったなんて。 「うち、あやめと居れてめっちゃあ幸せもんやったなぁ」 幽霊だったなんて。 「あやめ、おーきになあ」 幽霊だったなんて。 薄れゆく 無造作に縛られた黒髪。 無理矢理でも、それを掴もうと手を伸ばしたが 手に残ったのは 三階の非常階段の 窓から入ってきた 冷たい雪だけだった。 今、鈴花に会えるなら 精一杯の笑顔で言いたい。 「ありがとう」 END
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