悲しみの雨

2/2
前へ
/6ページ
次へ
全てを終えて自分を見ると身体中が真っ赤だった 血液色に染まる僕の身体を洗い流すのは雨 決して降り止むことの無いこの大雨は まるで僕の心が泣いている様だった 目的をやり遂げたのに 何故こんなにも悲しいのだろう それは僕が本当はこんな事を望んでいなかったから 悲しみの雨に打たれながら 僕は全てを後悔する どうして復讐をしたんだろう その代償として僕は全てを失った この世界でどうやって生きてゆけばいいのだろう 全てを諦めている時に優しい声が聞こえた ずぶ濡れの僕の手を引くのは暖かい手 決して降り止む事の無い大雨の中で 僕にとって彼女は一つの光だった さっきまで打ち拉がれていたのに 何故こんなにも嬉しいのだろう それは僕が本当に望んでいた幸せだったから 彼女の手に引かれて歩いてゆく 僕は希望を目にする どうして優しくしてくれるのだろう 僕は穢れているのに何故手を引いてくれるのだろう どうして彼女は僕を受け入れてくれるのだろう シャワーで心の泥を洗い流す 彼女のカレーは温かさそのものだった ここにいるだけで光を感じる ここにいるだけで僕の中の闇が薄れていく気がする まだ生きていける 生きる喜びを彼女が教えてくれたから 悲しみの雨が降り続ける 終わりがない闇の様に 闇に呑まれそうになっても僅かな光を忘れない 信じ続ければ必ず道は開ける 彼女が生きる希望を与えてくれたから 暗く歪んだこの空も必ず晴れる時が来る ほら 太陽の光が天から地を指す
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加