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世間を騒がせた病院爆破事件から10年、その事件の唯一の生存者にして記憶喪失の少年・・・
僕、神風 獅音(カミカゼ シオン)は、今や普通の学生として青春を謳歌している真っ最中である。
今でもまだ僕の事を不思議に思っている人たちはいる。
でも、僕はあの事件以前の事を全く覚えていないのだ。
警察が調べてくれた結果では、僕は、あの場でがんの治療で入院していた母の見舞いに来ていたらしい。
父も一緒に来ていたはずらしいのだが、遺体も見つかっていないという。
ぼくは、それが悲しい事とも思え無かった。
大切であるはずの親の記憶も無いのだから。
今ではもうどうでもいいことだ・・・
僕にとっての今の家族は、その後僕を引き取ってくれた、中崎 志保(ナカザキ シホ)姉さんだからだ。
あの事件で、志保姉さんも唯一の肉親である父を失った。
当時18歳だった姉さんは、高校を卒業してすぐに医者になるための勉強を独学で頑張り、見事今では一つの、市立病院の院長になるまでに成長した。
何故医者を目指したのか?
それは生前、父が医学界でもかなり有名な方らしくその背中を追っかけていたらしい。
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