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何を言っても通じない連中を無視してレポート編集に戻る陸斗、そのつまらない反応に既に焦点の合っていないクレアがちょっかいを出し始めるのに大して時間はかからなかった。
「早く終わらしていっひょに飲もぉよ」
「絡みたかったらアリシアに絡めよ、何回も言ってるけど僕は今忙しいんだよ」
デスクチェアに座ってまじめに鍵盤を叩く陸斗に、文字通り絡み付いてくるクレア。腕を首に巻きつけお世辞にも豊かとは言えない胸を背中に当ててくるが、鬱陶しいだけで嬉しくもなんとも無い。
これが晴香だったら違ったんだろうな、などと陸斗が物思いに耽っていると、急に頬を抓られた。振り返ると不満そうな顔のクレアが画面を指差した。
「機体の型番が途中で変わってるし。途中からカタカナ入ってきてるし」
「……」
指摘された箇所を見てみるとクレアの言うとおりラプターの型番がF-22からまったく関係の無いものに変わっていた。その他にも脱字やスペルミスなどを的確に指摘されてはそれを直していく。相変わらず別に嬉しくもないポジションのまま、正規の管制官ですら舌を巻くタイプスピードで増えていく文字列から、的確に間違いを見つけ指摘してくるクレア。それに反応し文句を言われる前に修正を加える陸斗。一向に止む気配の無いタイプ音に残りの三人は二人の背中に驚異の眼差しを向けながら、勝手に持ってきた陸斗のビーフジャーキーを静かに咀嚼していた。
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