Phase 3 +休息+

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 そして四時間後の丑三つ時、流石に日中の疲れもあってか上級生三名は寝息を立てていた。  「これで……おわりっと」  ファイルを保存し局長のメールアドレスに送信し、六時間にわたるレポート作業に終止符を打つと、四時間同じポジションにいたクレアの手からジュースを奪いのどを潤した。  「ん、やっと終わったの……って何してんのよ馬鹿!」  「何って、レポート完成を祝していっぱいぃ?!」  つい先ほどまでうとうとしていたクレアのチョークスリーパーに驚きながらも、とりあえずジュースの缶をデスクにおいて椅子から立ち上がる。記憶どおりクレアの体重は比較的軽く、チョークの仕方も緩いため簡単に立ち上がれた。突然の行動に驚きながらも馬鹿にされていると感じたクレアはムキになって陸斗の首にしがみ付く。陸斗はクレアが落ちないことを確認するとゆっくりとベットの方に向かった、そしてクレアがその事に気付いた瞬間――  「必殺、払い腰!」  ついカッとなってやった、反省はしているが後悔はしていない。見事に背中からベットに投げ出されたクレアにデスクに置いておいたジュースを渡すと、自分の分を取ってきてベットに腰掛ける。ふと見下ろすと転がったままの姿勢のクレアは視線を受け取った缶の飲み口と陸斗の顔で反復させていた。  「……」  「ん?飲まないの?」  不審に思いながら自分のコーラの蓋を開け飲んでみせる陸斗。ちなみにさっきからジュースといっていたのはアルコール度数の低いエリアJ発祥の缶チューハイだったのだが、頬が赤くなっているところを見るとクレアは余りお酒に強い方ではないらしい。陸斗はそう結論付けて自分のコーラを差し出す、がクレアは益々顔を赤らめてそっぽを向いてしまう。  「……じゃない」  「ん、なに?」  「……どっちにしろ、その……間接……キス、じゃないのよ!」  顔を真っ赤にしながら振り向いたクレアは缶チューハイを陸斗に押し付けると、隠れるようにベットのタオルケットを被った。
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