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〈謹慎中って何やってんだよ陸斗〉
「新兵器のテストを無断でやって研究所の一室を吹き飛ばしただけ。で、なんでこんな時間に電話してきたんだ?海李」
携帯端末片手に先日の後片づけをしながら相手の近況を聞く。自分がフライトユニットを誤作動させて局長室をぶっ飛ばしたことなんて、大したニュースでもない。それよりも双子の弟の急な電話の理由の方が重要だ。
守永海李、陸斗の双子の弟で現在はエリアEの軍北イギリス支部のレギオン部隊に所属している。双子ということもあり互いに兄、弟という意識は無く、生物学的に一番近しい友人といった認識をしていた。
〈いや、一年間グジグジしていた陸斗の声が聞きたくなっただけ〉
「……切るぞ?もしくはキレるぞ?」
〈おいおい、冗談だよ。晴香のことでちょっと気になる情報が入ったんだ〉
本気で通話停止ボタンに伸びていた指を"晴香"の一言で止める。どこまで有力な情報なのかは分からないが聞かない手は無いだろう。どんな瑣末なことでも恋人の回復に繋がる可能性があるのなら、見逃すことはできない。
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