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建設工事だろうか、数台の無骨な巨人がコンテナ車を引いて歩いているのが見えた。ソレより少し先に行ったところ、多分フィンズバリーパークでは競技用のレギオンたちが一つのボールを追って巨大スタジアムを駆け回っていた。レギオンサッカーと言ってレギオンでサッカーをするだけの単純な競技だが、エンジニアとドライバーの技が合わさって初めて成り立つ、レギオン技術の最先端を行く一分野だ。
「……陸斗?」
「いや、何だかんだで進歩していくんだなってさ」
浦梨紀沙良が遺した十戒システムは今尚レギオンの進化の可能性を狭めているが、何だかんだで巨人は多極化し世界の至るところに存在する。そしてそこには戦闘用に特化したレギオンもふくまれている。
「またネガティブなこと言って、そういうところは好
きじゃないよ?」
「じゃあ、何処が良くて僕を選んだんだよ」
「……それ以外のとこ?」
眉間によった皺を突いてくる恋人の頬を突き返し、ふと去り際の海李の言葉が気になった。窓に遮られていた為声は聞こえなかったが、確かに弟の口は「手を離すな」と言っていた。それが何を意味するのかまるで見当がつかなかった陸斗は、律儀にもずっと晴香の手を握ったままだった。
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