Phase 4 +想起+

9/17
前へ
/106ページ
次へ
 〈そこの君!危ないから早く避難を!〉  フランカーの一機から若い男の声が響く。周囲を見渡すと殆どの人が比較的安全そうな場所まで避難していて、陸斗だけが阿呆みたいに呆然と立ち尽くしていた。  だが今動いていいのだろうか?ここで動かなければ少なくともフランカーのドライバーたちは戦闘を開始しないはず。恐らくテロリストであろうイーグルのパイロットもレギオンの十戒システムのことを知っていればそう簡単に手出しはできない。問題なのはイーグルの僚機が見当たらないこと。レギオンである以上単独起動は不可能、であれば必ず僚機がレーダー範囲内にいるはずなのだ。  だが目視できる範囲にイーグルらしき機体はいない。少なくとも一緒に追いかけられていたわけではないだろう。となると後は  〈聞こえないのか?! α3、彼を安全なところまで連れていくんだ〉  「へ?あ、ちょっと待〈α3了解!!〉  周辺のビルに目を配っている隙にα3と呼ばれたフランカーが武装を腰にマウントし跳躍した。その動きに反応したイーグルは某大型マグナム銃をさらに大きくしたような銃を腰の格納ハンガーから取り出す。イーグルの目がα3に集中した瞬間、他の二機が一斉にマシンガンのトリガーを引いた。  集中砲火を浴びながらイーグルは得物の銃口をα3の頭部に向ける。フランカーは索敵性能に富んでいる代わりに、近年見られる戦闘型レギオンのように頭部パーツが小さくは作られていない。その分強固な装甲に被われているのだが、イーグルが構えるそれに耐えられる保障はない。マシンガンに装甲を削られながらフランカーの着地を待つイーグル、α3が陸斗の後ろめがけて落ちてきた瞬間アイカメラをスコープに切り替えた。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加