Phase 4 +想起+

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 直後、空を切って鉛色の物体がフランカーの頭部に襲いかかる。遠距離からの狙撃、それを折り畳まれていた電磁警棒で弾き、銃弾の軌道から発射位置を逆算する。背の高いビルが乱立する今の地形で狭い路地にいる対象を狙える場所などたかが知れている。  「レフトアーム制御システム、打撃から投擲へ変更。電磁警棒、出力手動調整」  モノアイを高感度カメラに切り替えたイーグルがいる位置。東北東の七百米先めがけて電磁警棒を投げつける。風切り音と言うには野太すぎる音を立てる警棒は弧を描きながらイーグルへと飛んでいく。  モーションだけ捉えたイーグルのドライバーはあらぬ方向へ飛んでいった警棒を度外視して、もう一度スコープとライフルを同調させる。場所を知られたといったところでまだまだ十分な距離がある。少なくとも後三回あるチャンスにスナイパーは深く息を吐いた。そしてスコープに捉えたフランカーのコア部分を狙い撃つ。  頭部に来ると思っていた銃弾がコアを狙っていた。大きくサイドにズレなければ避けられないし、直撃すれば反動で大きな隙を与えることになる。腕の制御システムを両手とも射撃モードに変更、両腕でマシンガンを構えると飛来するライフル弾めがけてマシンガンを放つ。普通に考えればあんな小さなものを同じく小さなもので撃ち落とせるはずもないのだが、それがそれぞれ三倍の大きさになっているとしてみたらどうだろうか。少なくとも対人のものでやるよりも遥かに簡単にライフル弾を撃ち落としスナイパーとの距離を縮める。スナイパーが次弾を装填し終わった直後、イーグルの頭に宙を舞っていた電磁警棒が突き刺さった。ドライバーが状況を理解する間も無くイーグルは沈黙した。だが――  「さっきのイーグルが停止しない?」  ターミナルで遭遇したオリーブのイーグルの反応が消えない。つまり、今倒した相手は別の括りのものでオリーブのイーグルには別の仲間がいる、ということだ。
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