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だが隠れているとしたら一体どこに隠れれば良い?どこに居れば見つからない?
分からない。少なくともモニターの所々が破損している今の状態では自機のコンディションの確認すらままならない。であれば僚機を探すよりもそれ本体を破壊したほうが手っ取り早い。何度目かの跳躍でたどり着いたスナイパーの後頭部から電磁警棒を引きぬくと、α3がきた道を引き返した。
「全く、しぶとい奴だ」
α1はボロボロになりながらも尚回避行動を取り続けるオリーブのイーグルに毒づいた。すでにマシンガンの弾倉は底をつき電磁警棒と実体剣でのチャンバラも一向に決着はつかなかった。それどころかα2が左膝関節を破壊されるという報告できないような失態すらこさえている。そんな時だった。
死んだはずのα3のフランカーがいつに増して速いペースでこちらに走ってきていた。その背中からは夥しいまでの赤黒い痕が残っているが、それでは一体誰が操縦しているのか。考えられる人物など指で数えられるくらいしかいない。
「誰だ?場合によっては貴公の相手もしなければならなくなるのだが」
〈さっきの一般人だ。それよりさっさとアレを何とかする〉
さっきの一般人、つまり先程ボウとつっ立っていた少年がアレに乗っているという事か。口調といい雰囲気といい余りにもの違いに気圧されながら、今までの経緯を伝える。
〈市民は無事か……ならいい〉
「あぁ、しかしどうも妙だ。未だにアイツの僚機が出てこない」
α1のレーダーにもソレらしい影は無く、目の前の手強い相手に翻弄されるだけとなっていた。だがこの少年と一緒にやれば捕らえることが出来る、そうα1に確信させるだけの何かをα3のフランカーは放っていた。
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