2007年 夏 ~ホームランの風~

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打席に入りバットを構える。 今日の天気は文句無しの快晴で肌がジリジリと焼けるのが分かるぐらいに日が差している。 マウンドではピッチャーがもう投げるモーションに入っていた。ピッチャーからボールが放たれキャッチャー目がけて向かってくる。甘いど真ん中のボールを俺はとにかく無心で振り抜いた。 キィーンという乾いた金属音とともに、打球は風に乗り外野の頭上を越えてスタンドに落ちた。要は優勝決定サヨナラ2ランホームランというやつだった。 「・・・俺が、俺が打った。俺たち・・・一番!?」 信じられなかった。 「伶!!早く回って帰ってこいよ!!俺たち一番になったんだよ!!」 俺と彰の中学の大会はこうして幕を閉じた。俺たちのチームの胸には金色のメダルが輝いている。 そして、あれからほんの少しだけ時間が過ぎた。
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