第一幕 『アシハ村警備隊の日常』

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* 今日も今日とて変わらぬ平和なアシハ村。 10歳ぐらいの小女が一人、ぽてぽてと歩いていた。 リボンによってサイドポニテに整えられた赤毛に横からはイヌ耳が飛び出している。そして腰からユラユラと揺れる尻尾がある。 そう彼女の名はソウギ。 「…あれは―――」 ソウギの視界に男の姿が写る。 いつもの白いジャケット姿。最も新しい村の住人。 「―――たいちょうさんだゆ♪」 ソウギは尻尾をブンブンと振りながら駆け出した。 その速さは可成りの物で、彼女も幼いながらも精獣族であり、その身体能力の片鱗を見せている。 「ねーねーたいちょうさん。ソウねー聞きたい事があるの。いいだゆ?」 辿り着くなり邂逅一番に質問が飛ぶ。 「勿論だよソウちゃん。それで聞きたい事は?」 「たいちょうさんてノーテンキなの?」 「・・・へ?」 ソウギの表情を見る限り意味を理解している様には見えない。 「ねえソウちゃん。それは誰から聞いたんだい?」 「え~と、え~と―――」 ソウギは俯き両手の指を折なが数え始めた。 その数は直ぐさま両手では足りなく成ってしまう。 「―――い~~ぱいだゆッ♪」 ソウギは両腕を広げ全身で表現し、そして弾ける笑顔には悪意なんて微塵も無い。
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