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複雑な気持ちを抱いたまま、澪都は実習が行われているグラウンドへ歩を進めていた。
近付くにつれて鼻を突く匂い。
炎と鉄が混ざり合った時に香る噎せるような匂い。
「―――火の精霊による火力の測定か」
火の精霊、代表的な火の精霊はサラマンダー、分かりやすい説明で例えるなら深紅の蜥蜴が近い表現になる。
今回の実習は精霊を既に召喚した者のみの実習で、まだ精霊を召喚・契約していない者は別の場所で召喚術を行っている。
「キャスカ、使用精霊サラマンダー、レベル8、潜在能力B++、魔力量4168、目標誤差プラス0,24―――うん、合格だよ~!?」
「使う精霊に使用形態、投擲か形状変化、確かに精霊は同じでも扱い次第で能力の差は出るからな」
仮に自分が精霊を呼び出すとしたら、どんな精霊が出てくるのだろうか?多少の興味は沸いたものの、精霊との契約は面倒なので、今回はのんびり見学するに考えが纏まった。
そんな中、どこからか刺すような視線、殺気を感じ取って周りを見回す。
「っ!?」
驚愕……刹那。
瞬きの一瞬に澪都が立っていた場所に矢が射られた。
そして、強烈な閃光と轟音。
巨大なクレーターを作り出し、周りは火の海に変わっていた。
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