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「それじゃ、ここを‥小坂。」
「‥‥わかりません。」
勉強は苦手。
嘘、勉強も苦手。
運動も、喋ることも、料理も、手芸も、歌も、踊りも。
あたしに得意なことなんてない。
「考えろ。小坂はそうやってすぐあきらめるから‥。」
「考えても、わかりません。」
隣で比良くんが小さく笑った。
「もういい、座れ。」
隣から比良くんが呼んでる気がしたけど、気づかないフリをした。
放課後。
一人の男子に呼び出された。
希美ははしゃいでたけど、正直嬉しくはなかった。
「あの‥こんなこと失礼ってわかってるけど。」
一枚の小さなメモを渡される。
「これ‥僕のメアドです。あの…荻野さんに‥渡して下さい!!」
そう言ってその男子は去って行った。
荻野ってのは、希美の名字。
つまり‥‥。
「は?根性無しが…。」
「まぁ、許してあげなよ?」
こんなこともう慣れた。
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