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――それから一ヶ月、私達の予定が合うことは、なくなった。
彼は外資系の企業で、営業として活躍していると聞いた。
"今月は特に取引が多くて、接待が忙しいんだ。"
一週間前にたった一通だけ来たメールを、馬鹿みたいに私は信じていた。
付き合うときに、彼と一つだけ約束したことがあった。
"メールの返事がなくても気にしない"
彼は忙しい人だと聞いていたし、メールが苦手なのだとも言っていた。
"そんなことを理解してくれる女がいなくてね"
寂しそうに笑う彼を見て、私なら理解してあげられる、と意気込んだ。
だから、あの最後のメールが来たときも、私はただただ舞い上がっていたばかりだった。
"明日の夜、会えないか?"
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