『     』

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それから、マントを被った女の子…リンは続けるように昔のことを一つ一つ思い出してみた。 ―――――――――――― 一年前 「あら、おやつの時間だわ。」 「今日のおやつはチーズケーキですよ。」 「…嫌よ。」 「え?」 「私はブリオッシュが食べたいの!!」 「しかし…シェフが真心を込めて作ったチーズケーキなのですよ?」 「嫌!ブリオッシュがいい!」 「………承知いたしました。」 ―――――――――――― 六年前 王女は昔から少しの脱走癖があった。 しかし、いつもなら一時間ほど経てばお城に帰ってくるはずが今日は帰ってこない。 「王女ーっ! どこへ行ったのですかー!?」 「………」 「王女ー……あ……! …どうなされたのですか?」 「…ぐすっ…靴が……」 「………?」 召使が王女の足元を見てみると片方の靴のかかとが折れてしまっている。 「…ぐすっ… 気に入ってたのに…」 この時の王女はまだ8歳。 お城を出れば普通の女の子だ。 「うっ…うわぁあぁん…!!」 ついに王女は座って大声で泣き出してしまった。 それを見た召使は…… 「…王女。」 「…っく…何……?」 「すぐに靴屋へ参りましょう。 こんなのすぐ直りますよ。」 「ほ…ほんと…?」 「ええ。 ですので、泣かないで下さい。」 「……ぐすっ……」 召使がそう言うと、王女はズビッと鼻をすすり泣くのを止めた。 「では、王女行きましょう。」 そう言うと召使はかがみ、おんぶをする体勢になった。 「……何?」 「乗って下さい。 歩きづらいでしょう?」 「……うん。」 王女は優しく召使の背中へと乗った。 「…ありがとう。」 「いいえ。 王女の悲しむ顔が見たくないだけです。」 そう言う召使の背中はとても温くて安心できた。 靴屋へ向かうその間に王女は眠りについていた。  
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