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ソレの目の前まで来た。 ふと気付く。 (男だ) はだけた着物の襟から覗く白い胸元はものの見事に真っ平らだった。 『‥‥女だと思ったか?』 視線に気付いたのかソレが聞いてくる。 こくりと頷いた。 『間違ってはいない。 我は男であって女でもあり、女であって男でもある。 人知を超えた人ならざるもの』 風が吹き抜ける。 水面を揺らし、満月を掻き消した。 『遙か古代よりこの地に宿り、人を守り、共に生きてきた』
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