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紅花染めの裾と袂が翻った。 金糸の髪が靡く。 『我は堕ちた八百万の神。最凶と呼ばれしあやかし。人を誑かして争いを起こし、天下太平をもたらすもの』 ただ立っているだけで大気を揺らし、森をざわめかせ、水面を波打たせる。 満月でさえもソレの前には霞む。 『李花の末裔よ、汝は何を欲する?』 自分は─── 『されば名を呼べ。我が名は───‥‥‥』
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