第一夜

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「スーザン、お前はこの国をどうしたい?」 「おと、う、様...」 滅多に聞かない父の声。 酒に焼けた錆びれ声。 母を苦しめ続けた、男の声だ。 「この国を...っこの国は、わしのものだ!!金も酒も宝の山も!!女も子ども皆、わしのものなのだ!!!」 「....うん。そう、ですね、お父様のものですわ。」 狂ってしまった国王の声。 自分を無くした哀れな者の声。 情けない、我が父の声だ。 「私たちが、守ってゆきます。あなたの国を。あなたを信じる民の幸せを...!」 そして、できることなら、あなたの心を。 「......もう少しの辛抱です。」 「あぁ、スーザン。我が娘。お前だけはわしを裏切ってくれぬなよ...!!」 「.........。」 私はきっと罪深い。 どんな罰もお受け致します。 だからどうか、民の幸せを約束して下さい。 「えぇ、お父様。私はいつまであなたの味方です。」 私はしっかりと父を抱きしめ、空いた右腕で父の冠をおろした。 .
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