一章~誰何の声~

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 黙れ。  と、その一言が声にならず空気のようにイスクドールの喉から口へと抜けていく。  頭の中で粘つき離れない光の玉の言葉。  身体はひどい倦怠感で指一本ですら動かせない。  闇の世界で、水に浮かびながら、その世界から逃れられない。 『――ねぇ、』 『――ねぇ、』 『――ねぇ、』 『――ねぇ、』  繰り返される質問。  答えられない質問。  光の玉が不意にイスクドールの耳の横に移動した。  一瞬の間、それの声が止む。  水を打ったような、妙な静けさが漆黒の世界を包む。  無言の緊張が威圧的で、イスクドールの呼吸を細くする。 『ねぇ』  光の玉が静寂を破り、吐息のような声で語り掛けてきた。  誰もいないのに、まるで誰にも聞かれないようにそっと小さな声で、光の玉がイスクドールの耳元で囁く。 『――――ねぇ、あの時お前が死ねばよかったのにね』
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