第2話 八神健太の長い1日

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「だ! ダメじゃぞ!? いくらワシがぷりちーでも、浮気はいかんぞ!?」 (……いや、違うから) 「だ、だから! そんなに見つめるなと言うておろうが!!」  階段にさしかかり、健太は一瞬迷う。 三階に行くか、それとも一階に降りるか。 三階に行けば、三年生達にまで迷惑をかけてしまう。というか、運が悪ければ目を付けられるだろう。 かといって一階に降りれば、職員室がある。  健太が立ち止まった一瞬をハンターは見逃さなかった。 「もらったぁぁぁぁぁっ!!」  廊下中に轟く叫び声。 健太目掛けて飛びかかる柔道部員。 彼からほとばしった汗が、太陽光を浴びてキラキラと光る。 他のハンター達は思った。 お宝は奴の物になってしまうのか、と。  だが、天は彼等にもまだチャンスを与えた。 健太は柔道部員から一瞬早く逃れていたのだ。  廊下に腹から着地した柔道部員が上げたと思われる「へぶぅっ!!」と奇妙な呻き声を背に、健太は階段を駆け下りる。  彼等から逃げる為に健太はあえて一階を選んだ。 それは分の悪い賭けかもしれない。 しかし、健太はそこに一筋の光明を見た気がした。
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