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「だ! ダメじゃぞ!? いくらワシがぷりちーでも、浮気はいかんぞ!?」
(……いや、違うから)
「だ、だから! そんなに見つめるなと言うておろうが!!」
階段にさしかかり、健太は一瞬迷う。
三階に行くか、それとも一階に降りるか。
三階に行けば、三年生達にまで迷惑をかけてしまう。というか、運が悪ければ目を付けられるだろう。
かといって一階に降りれば、職員室がある。
健太が立ち止まった一瞬をハンターは見逃さなかった。
「もらったぁぁぁぁぁっ!!」
廊下中に轟く叫び声。
健太目掛けて飛びかかる柔道部員。
彼からほとばしった汗が、太陽光を浴びてキラキラと光る。
他のハンター達は思った。
お宝は奴の物になってしまうのか、と。
だが、天は彼等にもまだチャンスを与えた。
健太は柔道部員から一瞬早く逃れていたのだ。
廊下に腹から着地した柔道部員が上げたと思われる「へぶぅっ!!」と奇妙な呻き声を背に、健太は階段を駆け下りる。
彼等から逃げる為に健太はあえて一階を選んだ。
それは分の悪い賭けかもしれない。
しかし、健太はそこに一筋の光明を見た気がした。
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