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「花ちゃんが健太くんに取り憑いてないから、健太くんの声は届かないんですよ」
健太の頭を撫でながら説明する早苗。
一方健太は同年代―正確には違うのだが―の女の子に頭を撫でられるのは抵抗があるのか、眉間にシワを寄せている。
(……ちょっと待て。って事は初めて会った日の夜には早苗はもう俺に取り憑いてたってのか?)
「正確には、声をかけてくれたあとですけどね」
眉間を押さえうなだれる健太。
だが今考えれば合点がいく。
初めて早苗が部屋に来た時は金縛りにあって声が出せなかったのに、確かに会話が成立していた。
(それじゃあ、あれか? コイツも俺に取り憑く気なのか?)
「うむ、そうなるのう」
(……勘弁してくれよ)
女の子に囲まれた生活。
男性ならば夢の様なシチュエーションだが、健太にしてみれば悪夢だろう。
「では、改めてよろしくのう。ワシは花子じゃ、名前位は聞いた事があろう?」
(いや、いきなり花子じゃって言われてもなあ……。まさか、トイレの花子さんってわけでもないだろ?)
「うむ、そのまさかじゃ」
(……マジで勘弁してくれよ)
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