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「ただいまー」
帰宅した健太が靴を脱いでいると、奥からトテトテとこちらに近づいて来る足音と共に
「おにぃー! おかえりー!」
茜の声が聞こえてきた。
「おかえり。遅かったね」
それに続く美月が固まった。
当然と言えば当然だ。
健太に憑いてる幽霊が一人増えているのだから。
健太が口を開こうとした瞬間だった。
突然健太の視界が何かに塞がれ、すぐさまこめかみを締め付ける様な激痛が走る。
「健太……説明してくれる?」
「わかった! わかったからまずはアイアンクローを止めてお母様!!」
健太から見える美月の表情は笑顔。
笑顔には違いないのだが、目がまったく笑っていない。
僅かに締めつける力は緩んだものの、手は未だに健太の顔を掴んだままだ。
早苗はオロオロしながら健太と美月の周りを飛び回り、花子は我関せずと言った具合に欠伸、茜は「ママがんばれー」と何故か応援中。
「えーと、彼女はトイレの花子さん。何か知らんけど早苗と友達になったらしくて、その後俺に取り憑きました!!」
顔に笑みを浮かべたまま花子に視線を向ける美月。
花子も花子で挑戦的な目で見詰め返す。
「アンタ、まだ居たの?」
「当たり前じゃ。おぬしの様な小娘にワシが祓えると思うたか?」
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