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「はい八神ですっ!! どこのどなたか知りませんがありがとう!!」
「えっ!? あ、いや、これはご丁寧に!!」
いきなり「ありがとう」と言われ事情が飲み込めないのか、受話器から聞こえる男性の声は上擦っていた。
「えーと……、健太? 何かあったのか?」
受話器から聞こえる少し低い落ち着いた声に、健太はカッと目を見開くと戸惑いがちに口を開いた。
「その声……まさか、父さん? 父さんなのか?」
「え? ああ、そうだけど?」
「父さん、生きてたんだね!? 幻の古代王国を探しに行くって言ったきり連絡がないから心配してたんだよ!?」
「いやいやいや!! 僕は普通のサラリーマンだからね!?」
「ははは、冗談だよ。で、どうしたの? 母さんに代わろうか?」
「ああ、頼むよ」
「ん、ちょっと待ってて」
健太が電話を保留にしたあと、未だに玄関で睨み合っていた美月に父からの電話の事を伝えると、年甲斐もなくスキップしながらリビングへと向かう美月。
おかげでようやく健太も自室へと向かう事が出来るのだった。
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