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「んー? どうしたのじゃ、健太? 何かまずい事でも言うたかのう?」
ベッドの上で土下座をしている健太を、花子はニヤニヤしながら見下ろし、早苗と茜はそんな健太を不思議そうに見ている。
「あのー、健太くん? どうしたんですか?」
どうやら健太の大声で先程の花子の言葉は遮られ、早苗達には伝わらなかったようだ。
「いや、何でも無い、何でも無い!!」
体を起こし正座したまま顔の前で両手をぶんぶんと激しく左右に振る健太。
「そうだ、茜! 確か新しい絵本買って貰ったんだよな? 早苗お姉ちゃんに読んで貰ったらどうだ!?」
いきなり話を振られた茜はきょとんとした表情で首を傾げるが、健太はお構いなしに言葉を継ぐ。
「うん、それがいい! 俺猛烈に花子と勉強したくなったから早苗は一階で茜に本を読んでやってくれ! なっ!? なっ!?」
あからさまに怪しい態度をとる健太を、早苗は怪訝な表情で見つめながら口を開いた。
「……本当に勉強するんですか?」
「本当だって!」
健太のその言葉に「むーっ」と小さく唸ったあと、早苗は茜を連れ部屋を出て行き、パタンと小さな音を立て扉が閉まると、健太は思わず安堵の息を吐いた。
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