第3話 父、帰る

8/14
前へ
/46ページ
次へ
 そんな健太を見ながら、花子はニヤニヤしながら口を開いた。 「なんじゃ? ワシに性教育でもして欲しいのか?」 「んなわけねえだろ!? つかお前、何であの本の事知ってんだよ!?」 「何を言うておる、ワシは早苗にベッドの下を見ろとしか言うとらんぞ? ……そうかそうか、ベッドの下には本があるのか」 「つまり……俺、自爆……?」  四つん這いになってうなだれる健太。 「ま、そういう事じゃな」  腹を抱え転げ回る花子を恨めしそうに見たあと、健太はおもむろに立ち上がり鞄から勉強道具一式を取り出し、無言で机の上に並べ始めた。 「何を拗ねておるのだ?」  からかう様な口調の花子を無視し、健太は椅子に座るとパラパラと教科書を捲っていく。 それを見た花子は一瞬ムッとした顔つきになったが、すぐにまるでイタズラを思い付いた子どもの様な笑みを浮かべ、健太におぶさった。 「勉強ならばワシが教えてやろうか? 勿論あっちの勉強じゃがの……」  健太の耳元でそう囁いた後、耳に息を吹きかけながら顎の辺りに指を這わせる花子。 「なななななっ!?」
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加