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「何なんだよ!? 頼むから邪魔しないでくれ!」
真っ赤になりながら懇願する健太。
花子はつまらなそうに健太からの背中から離れると、今度は健太の正面、つまり机の上に陣取った。
「おい! 何の嫌がらせだ!? 俺は勉強すんの!」
「暇なんじゃ! ワシの相手をせい!」
「駄々っ子かお前は! あのな、もうすぐテストなんだ。赤点取るわけにゃいかねーんだよ」
夏休み前の期末テスト、これの結果次第で夏休みが楽しめるかそうでないかが決まると言っても過言ではないだろう。
「なんじゃ、テストなんぞ普段から真面目に授業を受けておれば問題なかろう?」
机の上で胡座をかき、頬杖をつきながらそう言った花子から顔をそむけ、健太は窓の外を見ながら「明日も暑くなりそうだなー」とわざとらしく話題を逸らす。
「まったく……。仕方がない、今回はワシ等が協力してやろう」
「協力?」
ため息混じりに言った花子に対し、健太は首を傾げる。
「うむ。要は赤点を取らねば良いのだろう?」
「そうだけど……。まさか、マジで勉強教えてくれるのか?」
「いやいや、それよりもっと確実じゃ」
勉強を教えるよりも確実。
それは遠回しに、今から教えても無駄だと言っているようなものなのだが。
「よいか?」
ニヤリと笑ったあと、健太の耳元で何かを囁く花子。
もっとも、そんな事をする必要はないのだが。
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