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「えー? ちがうよぉー、ママ前にパパはあたまからプロペラがはえてとんでっちゃったっていったよ?」
「ますます謎です!」
茜からの新たな情報に困惑を隠せない早苗。
美月はいまだにクスクスと笑うばかり。
「皆して何騒いでんの?」
そんな中健太が姿を見せると、早苗がすぐに駆け寄り父親が帰って来る事と、父親が居なかった理由の事を説明した。
「母さん、二人に変な事吹き込むなよ……」
健太が苦笑を浮かべつつ美月に視線を向けると
「いやー、二人の反応が面白くてついね」
美月も苦笑しながら頬を掻く。
「変な事ってなんですか?」
顎に指を当て首を捻る早苗の横を通り、リビングのソファーに腰を下ろす健太。
「あのな、父さんは普通のサラリーマン。ちょっと出張に行ってただけだよ」
「えっ!? じゃあ入院って言うのは?」
「母さんの冗談だよ」
早苗に真相を話しながら新聞のテレビ欄をチェックし、リモコンを操作する。
「まったく……幼子に嘘を教えるとは、相変わらず嫌な女じゃのう」
健太の背におぶさりながら悪態をつく花子と
「はっ!! トイレが住処のババアに言われたく無いね」
同じく悪態で返す美月。
部屋の温度が少し下がった気がするのは、きっと健太の思い過ごしでは無いはず。
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