第3話 父、帰る

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 美月と花子の間に緊迫した空気が流れる。 健太はリモコンを操作したそのままの姿勢で固まり、早苗はいつでも脱出出来る様に天井近くで待機。  花子は相変わらず健太の背におぶさったままなのだが、その形相はまさに鬼。  健太にしてみれば爆弾を背負っているにも等しいこの状況。 助けてくれとばかりに早苗に視線を送るが、ぶんぶんと激しく首を横に振る。 「ババア……じゃと? 小娘……そういうおぬしこそ、シワが増えたのではないか?」  本人も気にしていたのか、美月の持っていたコップにヒビが入った。  その言葉を最後に誰一人口を開く事無く、時計の音だけがリビングにこだまする。  一触即発の空気の中延々続くかと思われたこの時間は、彼によって唐突に終わりを迎えた。 一家の大黒柱、八神 総一郎(やがみ そういちろう)の帰宅だ。 「ただいまー……って美月どうしたんだ? そんなに怖い顔して」  健太達にとってはまさに救世主とでも言うべきだろうか。 「お父様ーーーっ!!」  ソファーを乗り越え総一郎の足にすがりつく健太。 「パパーーーっ!!」  その健太の背中を踏み台にして、茜が腹部に飛びつくと、バランスを崩し転倒する総一郎。  その様子を美月達は茫然と見ていた。
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