第3話 父、帰る

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「あたたたた……」  打ち付けた後頭部をさすりながら、上半身を起こすと 「そうかそうか、二人共僕が居なくてそんなに寂しかったのか」  そう言って茜を抱きかかえ、頬擦りをする総一郎。 心なしか茜は嫌がっている様にも見えるのだが、そんな事は気にしない。 「さあ、健太もパパの胸に飛び込んでおいで!!」  茜を下ろし両手を広げる総一郎だったが、健太はずりずりと座ったまま後退る。 「や、俺はいいって!!」 「ふはははは! 逃がすか!」  健太に飛びつき捕獲する総一郎。 健太も体をくねらせ抜け出そうともがくが 「秘技! オヤジの抱擁!!」 「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!」  それよりも早く総一郎の秘技が炸裂。 秘技と言っても何の変哲もない、抱擁と頬擦りなのだが。  しかしこの頬擦り、無精髭が当たり痛いやら気持ち悪いやらで、実はかなりのダメージを与える。 スキンシップの名を借りた嫌がらせといった方が正しいかもしれない。
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