12227人が本棚に入れています
本棚に追加
「…じゃあ、教官は呼ばれた訳では無かったんですね」
会議室に静かにこだましたのはフィリアの声。
その話し相手となっているのはイアンディール教官だった。
ウォッカムは色々と混乱する部隊の調整を指揮している為、今は居ない。
セルザがアルガロス中将を連れて本部に帰ったのは数十分ほど前だった──。
「…あぁ。俺から連れてってくれって頼んだんだ。これが最後って思うと、どうしても先輩の顔を見たくてなぁ」
イアンディール教官はサングラスをテーブルに置き、腕を組んで息をつく。
今は完全に真夜中。
ベネスティアの町に来てまだ四日ほど。
この短い期間で色々とあり過ぎた。
しかし、心は何となく晴れたフィリア。
「…最後まで不器用な人だったよ。関わり断ち切ったのはそっちなのに、戦争の時わざわざ俺の家族の事を心配して、俺が死なないように無理矢理配属地を移動させるなんざ…ホント、馬鹿な先輩だな」
教官の独り言のような呟きに、フィリアは目線をテーブルに落とす。
──不器用、か
ホント、不器用な人
"彼"と同じくらい…
終わったよ
ラウド
.
最初のコメントを投稿しよう!