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†
フィリアが居なくなった後、ラウドは全てを皆に告げた。
両親の事。
保護され、そのまま軍に入った事。
アルガロス中将の事。
戦争の事。
セルザの事。
全て──。
「…何よそれ…あたしなんかよりもずっと、ずっと辛いじゃんかっ」
ベルナは薄らと泣いていた。
しかし、必死に堪える。
その為、鼻が赤らんだ。
ルヴィは腕を組んだまま壁に寄りかかり、目を伏せて立ちすくむ。
「…フィリアさん、本当に強いであります」
リスタの言葉は"力"がという意味ではない。
その精神が、という意味だ。
「戦争で活躍した事ぁ知ってたけど、まさか罪人使って実技演習かよ…その中将さんもなかなか人離れな事しやがるぜ」
ベットの上に胡坐で座り、枕を抱えて眉をひそめるアイル。
「…しかし、あの女が町に来ていたとはな。本当に良かったのか?フィリア一人に行かせて。貴様、本当は着いてやりたかったのではないか?」
あの女とはセルザの事。
ルースはテーブルの上でクッキーを貪りながら、椅子に座るラウドに心配そうな表情を向けた。
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