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しかし、ラウドは真っ直ぐな瞳を皆に向ける。
「いいんだよ。俺が行ったってウザイだけだろうし。そのうち帰ってくんだろ」
迷いの無い、澄んだ瞳。
だが、ルースにはばれていた。
こんな素っ気ない事を言っても、彼は人一倍フィリアの事を心配している。
本当に少しだけ何か精神的なものが繋がっているラウドとルース。
何となく、気持ちの揺れは分かるものなのだ。
ルースは何も言わず、ただくつくつと笑った。
そんな赤い猫は無視し、ラウドは息をつく。
「…なぁ、フィリアの事…」
ぽつりと吐き出された言葉。
すると、、
「分かってるっつーの」
ラウドの次の言葉を遮るかのように、アイルはそう大きな声を出した。
不意に彼の方を向けば、ニッと笑っている。
「誰も何も言わねぇよ。今まで通り。なーんにも変わんねぇから心配すんな。フィリア、グチグチ何か言われんの嫌いそうだしなー」
一瞬はたと目を丸くさせたラウド。
だが、直ぐに笑った。
「…あぁ、ありがとな」
飾り気の無い、純粋なその笑顔はまるで子供のよう。
ベルナ達も息をつきながらも微笑んだ。
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