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港町・ベネスティア。
潮風が心地よい町。
空には数多の星が輝いていた。
「久しぶり。元気だった?」
人気の無い町の一角。
フィリアの前に立つ女性はニコリと笑った。
セルザ=カフィール。
ウェーブの掛かった長いブロンドに、特徴的な口元のホクロ。
フォース指令部本部の中で、また更に分かれた部隊の指揮官のうちの一人である。
そして、フィリアの元上司。
フィリアは目を見開いたまま、上司の登場に唖然としていた。
しかし、直ぐに我に返る。
「何考えているんですか!?」
そして、出てきた言葉はその怒声。
"久しぶり"でもない。
"元気だった?"でもない。
「貴女はこんな所に出て来ていい人じゃありません!貴女は狙われているかもしれないんですよ!?」
セルザは「あらー、怒ってるわねぇ」と、のほほんと笑ったまま彼女の怒声を受ける。
「ましてや部下の一人もつけないなんて…!私の周りは危険なのは知っておりますでしょう!?なのに何で私の所に来たんですか!?私が何の為に…!」
今夜は妙に感情的だ。
先ほど、宿で嗅いだ酒の匂いに酔ったのだろうか。
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