プロローグ

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梅雨のそれにしては冷たすぎる雨が降り始めて二時間。 大粒の雨が人々の憂鬱を誘い外に出るのを億劫にしている夕方、家に帰る生徒達は濡れないためにある者は走り、またある者は用心深く歩く。 そんなだから誰も道の脇で切なげにか細く鳴く子猫になど気付かなかった。 この子の親はもう四日も帰って来ていない。兄弟達はもうずっと冷たくて動かない。
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