Act.1

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ここはリレイル王国にある王宮の地下 王女のアリアーナ・ミック・リレイルは通称封印の間と呼ばれる場所に来ていた この場所には何度も来たことがあり そして来る度父親である国王グランダル・T・リレイルある話を聞かされていた 「ここには二千年前に封印された《神殺し》がいる その《神殺し》は今はもう滅んでしまった魔法を使い神を殺した その刑罰として私達の先祖が封印したんだ」 いい加減聞き飽きた話を父に悟られないようにしていると 騎士の一人が駆け込んできた 「陛下!大変でございます!」 「何事だ」 「今妃様の容態が悪化しました!」 「真か!わかった!すぐに行く」 そう言ってグランダルは階段を駆けていった その背中が見えなくなった頃 漸く解放されたアリアーナは溜息をついた アリアーナは正直両親が好きではない だから容態が悪くなっても急いだりしない 薄情、いや王女として、人として自分でもどうかと思う しかしそれくらい嫌いだったのだ 父は国の利益と自分のことしか考えてなく 母は妹にしか愛情を注がない アリアーナはそんな両親が嫌いで 何度も『何故ここに生まれたのだろう』 と思うことがあった この《神殺し》の封印を解けば全て壊してくれるのではないか……… そんなことを考え首を振る ――両親は嫌い。だけど皆が嫌いな訳じゃない―― 家来達は優しいし、妹は私を慕ってくれている 学園にも少しだが友と呼べる人もいる 少し自己嫌悪し、それから一応、母の所へ行こうと階段をゆっくりと上っていく その時、封印が解かれかけているのも知らずに――
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