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タワー。
円錐状にそびえ立つそれは、およそそう呼ぶのが建築学上正しいのであろう。
形状は日本の東京タワー、フランスのエッフェル塔のようだ。
しかしそのタワーを構築しているのは、近代文明によって造られたセメントでは無かった。
砂。
幼稚園で幼子が造りあげる砂山。
それがそのまま巨大化したようなものだった。
しかし大きい…。
真下にいるからなのかもしれないが頂点がまるで見えない。
とりあえずタワーの周りをまわってみることにした。
この大きさだ、一回り何分かかるだろう。
そんなことを考えていると側面に2メートル程の穴を見つけた。怪しい香りが漂っているが好奇心に負けてしまう。
いったいこれは人工物なのだろうか。
そうだとすれば、誰が何のために。
様々な疑問の埋めく頭を抱え、私は砂漠タワーへ入っていった。
涼しい。
明るい。
この二つの点にとても驚いた。涼しいのは理解出来るが、窓など皆無であるこの空間に光が存在している。まるで建物が淡く発光しているようだった。
中は予想通り、砂で出来ていた。天井は意外と高く、真ん中に階段が聳えるのみであった。
ここまで来たら登るしかない。よし、登ろう。
私は階段に向かって歩いた。
「なんだ、これは!」
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