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少年はいつも一人だった。
だけど、少年はそれをさびしいだとか悲しいだとか思ったことはなかった。
それは、少年にとっての日常だったからだ。
人々は必要以上に少年を避けていた。
それは幼い子供たちの間にもすぐ広まり、間もなく少年はいじめられるようになった。
少年は人より多くの魔力を持っていた、ただそれだけで化け物とさけずまれてきた。
だが、その時の少年はなぜ自分がいじめられているのか理解していなかった。
毎日心と体の痛みに耐える日々。
「どうして、僕がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ・・・」
悲しみと怒りとどこかやるせなさを含んだその言葉にこたえるものはいつもいない。
だが、その日返事が返ってきた。
「私にはそれはわからないよ、でもねこれだけは分かるよ私はあなたを傷つけない。」
ここまでの言葉なら少年の冷え切った心には届かなかっただろう。
しかし、この後の言葉がほんの少し少年の心を溶かしすことになる。
「だって、私はあなたと友達になりたいもの!」
無邪気に笑う少女の顔からいつものような恐怖は感じなかった。
少年は最後にもう一回心を開くことを決めた・・・
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