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「あの、人間さんですよね?」
姫様と呼ばれていた女性が僕に話しかけてくる。
「はい、人間さんですよ、あなたは魔族のお姫様ですよね?」
「な、なぜそれを・・・」
「そりゃ、あんだけ姫姫言ってればわかるよね・・・」
「でも、人間さんにはここは開けられないはずですけど?」
「なんで?」
「だって、ここの鍵は魔族の魔力でしか壊せませんし。」
「だったら、普通に開ければいいでしょ?」
「そんな簡単じゃないですよ、この鍵はどんな天才鍵師でも開けられませんでしたから。」
ん?じゃあ、僕は稀代の天才なのか。
だが、特技が鍵開けってなんか主人公ぽくないよね・・・
「もしかして、普通に開けちゃいましたか?」
「まあ、僕にかかれば余裕だよね。」
「もしかしてあなたは勇者ですか?」
勇者、それはそれぞれの国が魔王討伐のために割く何らかの技能を持った者たち。
もちろん僕もそれ、巷ではペテン師とか鍵開けサクちゃんとか呼ばれてます!
うん、職業的には勇者じゃなくて盗賊だよね。
「うん、僕、勇者。」
すると彼女は親の仇を怨むような顔になり僕を睨む。
「あなたたちの、あなたたちのせいで・・・」
あれ、なんかまずくない?
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