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ピンク色のファーがついた頑丈な手錠で両手を頭上に固定され、皮ベルトで壁に腰を固定され、身動きが取れないのは平和島静雄。
池袋で一番名前負けしている彼の、眉間の皺がいつもの何倍も何倍も深い。
黒い『殺意』のオーラが彼を取り巻いている。
そんな彼をニコニコとした爽やかな笑顔で遠くから見つめているのは情報屋の折原臨也。静雄を拘束した張本人だ。
「全く、シズちゃんはすぐ暴れ出すんだから、ここまでするの大変だったよ。良かった。やっと大人しくなったな。」
呟きながら、静雄にゆっくりと近づく。
「……手前、ざけてんじゃねぇぞ?」
怒りに満ちた表情で臨也を睨む静雄。
だが、臨也は気にもせず、静雄の目の前で立ち止まった。
「いつもなら睨むシズちゃんを僕が怖がるとこだけど、何も出来ないシズちゃんは睨んだって全く怖くないな。」
黒い笑みを浮かべながら言う臨也に静雄の眉間の皺が深くなる。
「こんなことして何になる。今すぐ解放しろ。」
「やだなぁシズちゃん。君の力ならその手錠ブチ破って僕に殴りかかるくらいできるでしょ?」
臨也は静雄のサングラスを右手で外し、床に放り投げて足で踏み潰した。曲がったサングラスのフレームが臨也の靴の端から顔を出す。
「……」
静雄は黙って、楽しそうにサングラスを破壊する臨也を見ていた。
「ところで、本題。」
不意に臨也はサングラスを踏みながら呟く。
「僕が何で君を捕まえたか…分かる?」
「…………」
それはね―――――
次の瞬間、静雄は左腹部に小さな違和感を感じた。
「――ッ!?」
「こういうことさ」
臨也は黒い笑みを、更に黒くした。
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